GOKOTI平山遥さんおいしい旅の記憶

 

#10「マチュピチュ」だけじゃない。ペルーは、フュージョン・未知食材が奏でる美食の国。<ペルー・クスコ前編>

旅好きの視線を集めつづける、マチュピチュの玄関口「クスコ」。

インカ帝国の首都だったペルーの古都「クスコ」。富士山(標高3,776m)と変わらぬ標高で栄える世界遺産の街です。

旧市街を空から見るクスコって、ネコ科動物「ピューマ」のフォルムをしているって知っていますか?それも偶然ではなく、インカ皇帝パチャクティが力強さを象徴するピューマを意識して設計したのだとか。飛行機やドローンもなかった時代に、図面だけでピューマ型を実現させてしまうなんて。想像しただけでも鳥肌が立ちます。


▲サクサイワマン遺跡から望むクスコの風景。

 

そして街じゅうにたたずむ石組みを見たら、きっと言葉を失うことでしょう。インカ時代(13~16世紀頃)のものだと知らなければ、ここ2〜3世紀で作られたものだと勘違いしてしまうほどの精巧さだから。石の加工も、組み方も、“カミソリの刃も通さない”と言われる高度な技術が用いられています。もしかしたら、機械に頼る現在において、人の手でここまで再現することはできないかもしれませんね。


▲サクサイワマン遺跡の巨石にびっくり。これを人の手で組んだなんて信じられません!


▲独特なかたちをした「12角の石」は、有名な観光スポット。


コカ茶とアルパカ肉。罪悪感と幸福感の狭間でゆれる、クスコの昼下がり。

クスコ市内を観光した日、ツアーガイドのジェシーさんと伝統ペルー料理レストラン「Pacha papa(パチャパパ)」でランチをご一緒しました。

太陽のスポットライトが当たるテラスにて、ペルーのポピュラードリンク「コカ茶」で乾杯。日本では法律上飲むことが許されないので、やや背徳感を覚えましたが(笑)、渋みはなくハーブティーに似た爽快さがあって飲みやすかったです。高山病対策として飲まれるのもうなずけます。


▲大地の女神パチャママに捧げられる、神聖なコカの葉で作られるお茶。

 

歩き回ってお腹がぺこぺこだったのか、つい欲張ってひとりで2品注文しました。1品目は、「Anticucho de Alpaca(アンティクーチョ・デ・アルパカ)」。

名前でお気づきでしょう。そう、つぶらな瞳にもふもふした毛がかわいい「アルパカ」のお肉を使った串焼きです。クスコ滞在中、幾度となくアルパカを見ては癒されていました。なんとも言えない複雑な心境でしたが、各地の伝統料理・地産地消を食すのが旅のマイルール。しっかりといただきました。


▲アルパカは、ペルーの人々にとってライフライン。時には寒さをしのぐ衣類となり、生きていくためのタンパク源になっています。


ラム肉のようなクセがあるのかと予想していたけれど、臭みもクセもなくてびっくり!

とても柔らかくて、脂の少ない牛肉のような味わいです。観光客向けに調理されているのかはわかりませんが、付け合わせのソースがなくても十分おいしいお肉体験は、なんともしあわせでした。


▲アンティクーチョ・デ・アルパカ/サイドに添えられたポテト・大粒のコーンも甘味があって親しみやすい一皿。

 

2品目は、クリオージャ料理(西洋・アジア・ペルーの良さを融合した料理の名称)の代表格である「Aji de Gallina(アヒ・デ・ガジーナ)」。いわばペルー版カレーです。

この鮮やかな黄色を放つ食材、なんだと思いますか?ターメリックではありません。正解は、「アヒ・アマリ―ジョ」という名前のペルー産唐辛子。味付けをよくするために、ペルー人が黄唐辛子を入れるようになったそうです。それでも、辛味の主張は控えめ。チーズ・牛乳を使っているからか、旨みとコクが主役の飽きない味でした。


▲アヒ・デ・ガジーナ/ゆで卵とオリーブ、ジャガイモが添えられるのが一般的です。


▲アルパカの毛で編まれたセーターを着て、肉を食べることになるとは(笑)。ジェシーさんとの女子トークにも華が咲きました。

 

クスコのごはんに胃袋を掴まれてしまい、気づいたら10日間も滞在していました(笑)。次回は、クスコ滞在中に参加した「料理教室」で、ペルー料理の歴史と作り方を教わった体験記をお届けします。

 

別腹ストーリー

天空から拝む「マチュピチュ」の神秘さは、写真には収まらない異次元レベル。

写真1枚が人生に大きな影響を与えることってありますよね。私にとっては世界史の教科書に載っていた「マチュピチュ遺跡」がそうでした。自分の知る世界は一片でしかなく、未知の世界をもっと見たいという想いが込み上げたことを覚えています。それから20年の時を経て、2019年12月ついに出会うことができました。


▲「秘境」という言葉は、この遺跡のために生まれたような気がしてなりません。


到着後しばらくは、実感が湧かなくて夢のつづきを見ているようでした。現場の空気と心が溶けあうようになってからは、細胞で感じとるようにじっくりと冒険を楽しみました。広大な段々畑、天体観測の水鏡、コンドルの神殿をはじめ、空中都市を構成するすべてにインカ文明の高度な技法が息づいていて、先人の図り知れないちからに圧倒されます。


▲「マチュピチュ遺跡」のいたるところで、リャマが遊んでいます。

▲太陽の神殿/天と地をつなぎ、収穫のときを知らせたとするパワースポット。

 

こころを射抜かれたのは、「Huayna Picchu(ワイナピチュ)」という山の頂から望んだ「マチュピチュ遺跡」の全景。地上で見せる表情とはまるで違います。霧がかる白い世界から、しだいに姿を見せ陽光を浴びていく様子は、まさに“異次元の神秘”。言ってみれば「天空の城ラピュタ」を現実に目撃したような驚きと感動が、ここにはありました。

これから「マチュピチュ遺跡」を訪ねようとする友人がいたら、ぜひとも「ワイナピチュ」から拝んでほしいと、強く勧めようと思っています。


▲ラストスパートは、高所恐怖症の人にとっては苦行の階段(笑)。


▲雲の切れ間から顔をのぞかせる「マチュピチュ遺跡」。


▲登った人だけの特等席から見える遺跡は、どうしようもないほど美しく、 “天空の聖域”でした。

これまでの連載はこちら▶おいしい旅の記憶


平山 遥 Hirayama Haruka
カナダ・トロント生まれ、東京育ち。数年前から鎌倉暮らし。リクルートコミュニケーションズで、広告制作ディレクション・WEBマーケティング・サービスデザインの領域に従事。現在はコンサルタントとバイヤーという二足のわらじに奮闘中。週末の海辺散歩、月に1度の国内旅行、年に1回の海外旅行でリトリートするライフスタイルを満喫している。Instagram:@travelife_haruka0530

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