GOKOTI平山遥さんおいしい旅の記憶

#9 マチュピチュだけじゃない。ペルーは、フュージョン・未知食材が奏でる美食の国。<リマ編>

プロローグ 〜旅人の胃袋を掴んで離さない、ペルー料理の底力〜

「料理がおいしかった国はどこ?」と聞かれたら、スペイン・ペルーと即答しています。そして必ず「ペルー料理っておいしいんだ!?」と聞き返されます(笑)。

アンデス高山地帯、密林アマゾン、砂漠が広がる乾燥地帯といった多彩な自然と、恵まれた気候のもと育つ豊富な食材。インカ文明、スペイン植民地時代の食文化、日本や中国の移民がもたらした東洋の食文化が融合した、多様性あふれる食の歴史。これらがペルー料理の秘訣なんです。

ペルー料理になじみのない人に向けて、おいしい記憶がたっぷり詰まったペルー旅を、リマ編・クスコ前編&後編の3本立てでご紹介していきます。有名な世界遺産や観光スポットも登場しますので、ぜひ旅気分を味わってください。


▲アルパカ肉の串焼きに、ペルー産ポテトとキノコのソテー

▲標高4200mに位置するエメラルドグリーンがまぶしい「ウマンタイ湖」


ペルー料理×日本料理のマリアージュコースは、“ミツハル”センスの洪水でした。

2019年12月中旬にクスコ行きを決めていた(「マチュピチュ」観光はかなり早い段階での予約が必要だった)私は、南米の美食都市「Lima(リマ)」へ事前に立ち寄ることに。3ヶ月前に有名レストランの予約を試みたのですが、美食界が注視する「Central(セントラル)」は半年先まで予約いっぱい。

2軒目の日系人シェフ「ミツハル・ツムラ」氏が営むレストラン「Maido(まいど)」は、事前購入済みの航空券を変更して日程をずらせば、1席確保できることが判明。この先のスケジュールへの影響など気にも留めず、レストラン予約を最優先しました。



▲「ラテンアメリカのベストレストラン50」で3年連続1位獲得の実績を持つ超人気レストラン。多国籍なゲストで店内は賑わいをみせています。

 

「Maido」がもてなしてくれた食体験は、「NIKKEI EXPERIENCIA(ニッケイ エクスペリエンシア)」。ニッケイ・フュージョンと日本料理で構成された13品の豪勢すぎるコースです。

1品目を待っていると、少し離れた席で食事をしていた男性陣からお誘いが。おいしい時間をシェアできるテーブルメイトが出来たおかげで、幸福度は2倍にも3倍にもなりました。


▲食事を共にした彼らとすっかり意気投合。翌日も一緒にディナーする約束までしちゃいました。


気になる主役の料理たちはというと、驚きと感動の嵐でした。長編映画で3時間休みなくドキドキさせられているようなもの。大阪での修行経験がある日系シェフだからこそ取り入れられる和食の美と、ペルーの食文化を楽しく味わえるクリエイティビティが、テーブルの上には広がっていました。私の語彙力ですばらしさを伝えるのに限界があるので、ぜひ写真で味わってください(笑)。


▲SNACKS(スナックス)/まるで小さな日本庭園。スナックと呼ぶのがもったいないです。和牛とウニのユッケ、海苔とポテトチップス、マスのお刺身どれも文句なしの味。


▲OCOPA(オコパ)/味の想像がつかない独創性の高さ。茹でたじゃがいもに、グリーンソースをかけたものが一般的ですが、このOCOPAはニンニクの効いたオシャレコロッケです。


▲TIRADITO(ティラディート)/魚介類を刺身にして、魚の出汁やレモンなどの柑橘系の果汁で作られたソースでいただく料理。好物の「セビーチェ(ペルー生まれの魚介と野菜のマリネ)」にも似ており、どハマり。


CAMARON(カマロネス)/エビの茶碗蒸し。南米で頻繁に使われるチリ(唐辛子)やミルクを混ぜて作るスープを注いで完成する、ニッケイ・フュージョン料理の極み。


▲CUY(クイ)/ペルーの特産品であるモルモット。古典的なクイ料理は丸焼きでクセが強いのですが、スパイスが効いていて、言われなかったら気づかないくらい美味しかったです。


▲THEOBROMA BICOLOR(テオブロマ・ビコロール)/ホワイトカカオのスモークアイスクリームは、もくもくと白煙を放つ演出度高めのデザートでした。


▲シェフとの記念撮影。気さくに応えてくださる人柄も素敵でした。

10品終えたあたりでお腹がぱんぱん。最後のデザートを残してしまったことが唯一の心残りですが、すべておいしくて大満足です。ミツハルシェフ、ぜひとも日本にもお店を出してください(笑)。


別腹ストーリー/おいしい旅の寄り道は、やっぱり「地上絵」と「奇跡のオアシス」。

リマで美食三昧という過ごしかたも捨てがたかったのですが、日帰り観光も外せませんでした。お目当ては、あの「ナスカの地上絵」と砂漠のオアシス「ワカチナ」です。日本では決して見られない唯一無二のスペクタクル。想像をはるかに超えるモノを目の当たりにしたときの、からだじゅうに電流がかけめぐる感覚がたまりません。

<ナスカの地上絵>
約2000年も前に描かれ、今も消えず存在し続ける巨大なアート。
古代の技術で成し遂げた先人の知恵とタフさには、ただ脱帽するばかりでした。



▲セスナに乗って上空から見学。目を見開き集中してないと見逃してしまうので、ご注意を(笑)

▲よく見ると、ガチャピンに似たシルエットの通称「宇宙飛行士」が姿を見せてくれます。



<ワカチナ>
ペルー南部の都市「イカ」に広がる砂漠のなかでぽつんと浮かぶオアシス。果てしなく続く砂丘、青い空、泉を囲うグリーンのコントラストが美しかったです。


▲アンデス山脈の湧水で潤っている、奇跡のオアシスです。

▲急勾配の砂丘を猛スピードで駆け抜けるサンドバギーは爽快です。砂まみれになるのはご愛嬌(笑)。

 

これまでの連載はこちら▶おいしい旅の記憶


平山 遥 Hirayama Haruka
カナダ・トロント生まれ、東京育ち。数年前から鎌倉暮らし。リクルートコミュニケーションズで、広告制作ディレクション・WEBマーケティング・サービスデザインの領域に従事。現在はコンサルタントとバイヤーという二足のわらじに奮闘中。週末の海辺散歩、月に1度の国内旅行、年に1回の海外旅行でリトリートするライフスタイルを満喫している。Instagram:@travelife_haruka0530

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