#4 日常的に心を整えるメディテーション(前編)

鎌倉在住でネイチャーセラピストとして活動する内藤記世さんのコラム。自然とともに生きることの豊かさを伝えてくれます。連載第4回のテーマは、メディテーション。静かに心を落ち着かせる瞑想で、セルフメンテナンスしてみませんか。

心と向き合う年


▲心が沈んだりモヤモヤするときは、森や海へ行き、自然の力に助けてもらいます


2020年から世界中で起こった出来事によって、皆さんにもいろいろな変化があったのではないでしょうか?STAY HOMEによりお家や住んでいる街で過ごす時間が物理的に長くなったのも変化のひとつだと思いますが、そんな外的環境の制限により内的変化、つまり心や価値観の変化も少なからず起こったことと思います。

ご多分にもれず私自身もそうでした。TVをつけると不安を煽られるようなニュースが四六時中流れていたり、SNS上にもいろいろな情報が飛びかう情報過多な毎日。外側の情報に左右され自分の心が揺らいだり、疲弊することを極力減らしたいと思い、去年は人生の中でいちばん意識して“自分の心”や“自分の内側”に向き合った1年でした。

今、振り返ると毎日メディテーション(瞑想)をしていました。日によって短いときは3分だったり、長いときは2時間くらいのときもあったりとまちまちですが、トータルするとけっこうな時間になる気がします。ルーティンが苦手な私にとって毎日やっていたなんて本人が信じられないです(笑)。

習慣化しようと決めてしまうと、モチベーションがあがらなくてできないのですが、「気持ちいいから」「心地いいから」という感覚を優先していたら結果続けられていたという感じでしょうか。そういう意味でも、何かをすること(=doing)だけに重きを置かず、自分の心の状態(=being)を丁寧に見てあげることが大切 だと改めて思いました。

HSP(※)の特性を持つ私にとって、他人や集団意識のモヤモヤやイライラの感情を、自分が感じ取って苦しくなってしまったりすることがよくあるので、より自分の心の安心を保つことが、日々の幸せや幸福感に繋がっていると身をもって体感しています。

※Highly Sensitive Personの略。繊細で、環境感受性が特に高い気質の人


コロナ禍における心の整え方


▲気候がよいときは、お庭でメディテーション。太陽の光を浴び、風を感じ、草の匂いを嗅きながら。五感がとっても喜びます


心を整える方法は、メディテーションに限らずいろいろな方法があると思いますが、コロナ禍において、なかなか行きたい場所へ出かけることができなかったりと物理的な制限がある中で、場所や時間にとらわれずどんな状況でもできるメディテーションは、 今にちょうどいい方法ではないでしょうか。

メディテーションとは、日本語でいうと瞑想です。瞑想とは、もともと禅で行われていた修行のひとつですが、昨今では、世界経済フォーラムの年次総会、通称「ダボス会議」でも朝に瞑想が行われています。

各国の企業でも研修やコーチングの中にメディテーションを取り入れるなど、一般の人も日常的に行うものへと変化してきています。私自身も、去年、一昨年と実際に、日本企業の福利厚生プログラムのひとつとして、メディテーションのやり方をお伝えする講座を行いました。

メディテーションにはさまざまな技法やとらえ方、考え方があるので、「これが正しい」というものはないと思っています 。最終的にはご自身に合うやり方を見つけていただくのがいちばんですが、初めての方やまだ慣れていない方に、私がふだん実践している簡単な方法の一部をご紹介できたらと思っています。よかったら参考にしてみてください。


好きな場所で、好きなときに。メディテーションのTIPS


▲鎌倉の北条氏常盤邸跡。緑に囲まれていてメディテーションしやすい場所です
まずは、姿勢から。
やったことがないと、「座禅を組んでやるの?」「それだときつそうだな」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私はそのときの気分で姿勢も変えています。床に座って座禅を組むときもあれば、椅子に座って、床に仰向けに寝転んで、歩きながら、仁王立ちしながらなど自由です。

座位の場合は、仙骨を立てて、お尻〜仙骨〜背骨〜首〜頭頂部が一直線になるイメージをすると呼吸もしやすくなります。立位の場合は、上記のイメージにプラスしてお尻から地面に一本線が通っているイメージをしてみてください。そうすると、頭頂部から足先(地面)までエネルギーが行き届きやすくなります。

寝転ぶ場合は、背中や手足の力を抜き、背面が大地に接しているイメージで呼吸をしてみてください。よりリラックスした感覚を味わえます。ぜひ その時々の好きな姿勢でやってみてくださいね。


▲座位のイメージ

次に、行う場所。
これも本当にどこでもできます。ですが、周りが騒がしかったり、ザワついていたりすると集中しにくいので、できるだけ静かなところのほうが初めはいいかもしれません。私が特に初心者の方におすすめしたいのは、自然の中です。公園でもいいです。自然の中の音や匂い(鳥や虫の鳴く声、風の音、水の音、木々や花の匂いなど)は、人間の身体や心、脳もリラックスさせてくれるので、ふだんよりメディテーションに入りやすくなります。

なかなか自然が身近にない方は、ぜひリラックスできるような音楽を聴きながらやってみてください。音楽を聴きながらだと、電車の中でも、カフェでもできますし、お家の中のエアコンや冷蔵庫の機械音なんかも気にならずにできるかと思います。

ちなみに、私がメディテーションの時によく聴いていているのはHaruka nakamuraさんの『光』という曲です。メディテーションが苦手といっていた友だちやクライアントさんもこれなら気持ちよくなれると絶賛していたので、おすすめです。


▲こちらも私の定番の心整えスポット(由比ヶ浜)。自然の美しい表情を見ると、とても癒されます


では…
実際に行なっていくうえで大事なポイント、それは呼吸と意識です!
ここからは、次回「後編」でお伝えしていきます。

後編はこちら▶#5 日常的に心を整えるメディテーション(後編)

これまでの連載はこちら▶森と海と心のいい関係

 


内藤記世 Naito Kiyo
大阪生まれ。世界遺産「高野山」に近く山深い和歌山県と大阪府の県境で育つ。大学卒業後、就職で東京へ。リクルートコミュニケーションズで広告制作ディレクションに携わった後、ロンドン留学。帰国後は、DIESELの広報宣伝部を経てフリーランスとなる。現在は、鎌倉に暮らし、Nature evangelist (ネイチャーエバンジェリスト)、森林セラピーガイドとして活動中。@kiyorin_n
公式HP

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