GOKOTI平山遥さんおいしい旅の記憶

#12 アンデスの山奥には、地球ばなれした“規格外の秘境”が、ひっそり佇んでいます。<ペルー・別腹ストーリー「レインボーマウンテン」>

今回は「おいしい旅の記憶」の箸やすめ。これまでのペルー編では収まりきらなかった、美しすぎる秘境たちを数回に分けてご紹介します。「この地球上には、誰も発見できていない未知の世界がまだまだあるに違いない」と想わせてくれるような絶景を、ぜひ堪能してください!


”虹”は、空に架かるだけでなく、アンデスの山と大地も染めました。〜ビニクンカ山〜

クスコ市内から車で約3時間かかるアンデス山脈の懐に、通称“レインボーマウンテン”と呼ばれる山がそびえ立っています。SNSで話題となり、一躍ペルーの観光名所になった標高5,100mの絶景ポイントです。自力では行きづらい秘境のため、日本語ガイドが案内してくれるプライベートツアーを予約。まだ真っ暗な早朝3時半にホテルを出発しました。


▲AM6:30車窓越しに流れていく山々の姿。横目で見るにはもったいない絶景です。

▲絵の具で染めたようなサーモンピンクの河。赤土の土壌が生み出した天然の配色です。

眠気が吹き飛ぶほどの雄大な自然を眺めていたら、あっという間に標高4380mにあるレインボーマウンテンの登山口に到着。山頂まで700mしかないじゃん、と思うでしょう?油断するなかれ!心臓破りの急勾配が待ち受ける、片道3時間の登山道なんです。


▲スタートから1時間くらいまでは、周りの景色を愉しむだけの余裕がありました。


▲途中地点では民族衣装を着た現地の人々が待機。希望すれば、馬を引いて山頂間際まで送り届けてくれます。何往復もできちゃう心肺と体力には脱帽。

序盤は緩やかな道のりで、順調に歩を進めていました。ですが、山頂が見える中腹部まできたところで愕然としてしまいます。なぜなら、期待していたカラフルな装いはいっさい見当たらず、まさかの雪化粧だったからです(笑)。このまま山頂に登っても、レインボーに彩られた一帯を拝むことができないのは、という不安がよぎりました。それでも、「お昼に気温が上がればきっと雪解けするよ」というガイドの言葉を信じてトレッキングを続けました。


▲本来であれば、このアングルから見えるエリア全体がレインボーなんです。

クスコ滞在7日目ですっかり体が高地慣れしていたので、高山病にかかることなくコンディションは絶好調。それでもやっぱり自然は甘くないですね。標高4800mの未体験ゾーンに入ると、酸素が急激に薄くなり、肺がしんどさを訴えるようになります。足腰は痛くないのに、呼吸が苦しくてこまめに休まないと足が前に進まないんです。フルマラソンで35kmを超えたときに襲ってくる試練に似ていました。


▲標高4800m〜4900m地点の“あおぞら売店”にて。目に飛び込んできたのは、広大でカラフルなマーブル模様でした。

 ひーひー言いながらも、なんとか登頂に成功!嬉しいことに、ちゃんと“レインボーマウンテン”として私たちをお出迎えしてくれました。登山口側とは反対の側はまったく雪をかぶっていなかったので、白銀と虹色のコントラストという奇跡的な姿まで見せてくれました。


▲思いがけない自然の演出に、疲れなんぞ一気に吹っ飛び、ただ見惚れました。

 山脈というキャンバスに、何種類もの色がたて・よこ・ななめのボーダー模様が描かれた、まさに自然のアート。まばたきを惜しむくらい、自分の瞳にしっかり映しているのに、想像を超えるスケールと美しさなので、どうしてもこの世のものとは思えないんです。フィクションとノンフィクションの境がわからない映画を見ているような夢のひととき。氷点下のなか、時間が許すかぎり(おそらく1時間以上(笑))、奇跡の産物を眺めつづけました。



▲「レインボー」の正体は、それぞれの地層に含まれる鉱物。地表にむきだしになった際に、空気中の酸素に触れて酸化し、鉱物ごとの個性が「色」に現れたんだとか。

▲食事に夢中で塩対応なアルパカ、ノリのよい現地の女性とともに記念撮影。

▲標高5100mでご飯を振る舞う女性を発見!登山客の疲れと冷えを癒してくれそうなスタミナ飯。

▲往路は必死で気づかなかったのですが(笑)、登山道の脇には無数の石積みがあります。わたしもせっかくなので石を積み、旅の安全を祈願しました。

レインボーマウンテンツアー、いかがでしたか?写真だけでは伝わらない感動が得られると自信をもってお薦めできるので、ぜひともこの記事を読んで興味を持っていただいた方には訪れて欲しいです。次回は、標高4200mに眠る神秘の氷河湖「ウマンタイ湖」、天空の白銀ワールド「マラスの塩田」をご紹介します!

 

これまでの連載はこちら▶おいしい旅の記憶


平山 遥 Hirayama Haruka
カナダ・トロント生まれ、東京育ち。数年前から鎌倉暮らし。リクルートコミュニケーションズで、広告制作ディレクション・WEBマーケティング・サービスデザインの領域に従事。現在はコンサルタントとバイヤーという二足のわらじに奮闘中。週末の海辺散歩、月に1度の国内旅行、年に1回の海外旅行でリトリートするライフスタイルを満喫している。Instagram:@travelife_haruka0530

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