#3 嬉し悩まし、間取り計画(前編)

こんにちは、ライターの二木薫です。このブログでは、夫婦ふたりで東京から鎌倉に引っ越し、「この町で理想の家を建てよう」と奮闘する記録を綴っていきます。「鎌倉が好き」「鎌倉に住んでみたい」という人に向けてというだけでなく、理想の暮らしや家づくりについても皆さんと一緒に考えていけたらな、と思っています。

第3回は、家づくりの過程で、悩みに悩んだ間取りについて。

間取りの計画には「リスト化」がおすすめ!

土地を購入してからすぐにとりかかったのは、どのような家に住みたいのかをリスト化することでした。
仕事用の部屋は必須、でもふたり暮らしなので、一般的な間取りよりも部屋数は少なくていい。老後のことを考えて、3階建てやロフトは避けよう......などなど。とにかく思いつくままに、家の構成を書き出していきました。


▲希望リスト作成は楽しい作業。本当に求めている暮らしに向き合う時間でもありました(photo:Pixabay)


間取りの計画で役立ったのは、今まで住んだ家のふり返りです。生活動線、収納量、水回りの使い勝手など、良かった点と改善の余地があった点をそれぞれ思い出して、それもリスト化しました。


▲今までの間取りの長所・短所を見直すことで、生活パターンにぴったりな間取りが明確に

間取りの計画の前準備として、家族全員の希望をあげてもらったら、リストの中での優先順位を決めておくといいかもしれません。実は、施工会社さんとの打ち合わせの場で夫婦の意見が合わず、なかなか計画が進まないことがありました。意見は前もってすり合わせておくと安心です。

 

理想の間取りにたどり着くには......?

注文住宅の家づくりが始まると、施工会社さんから間取りの提案をいただきます。まずは、家族構成や普段の生活についてヒアリングがスタート。

はい、ここ注目のポイントです!
設計士さんには遠慮せず、ふだんの生活スタイルや困っている点を、具体的にお伝えすることが重要です。

これは失敗例ですが、「毎日の家事、とにかくラクをしたい!」という私の怠けものレベルは、設計士さんの予想を超えていたのです。3回以上も提案いただいた上、最後は自分で間取りをプレゼン。建築計画も押してしまいました。

最初から要望を具体的に伝えればよかったと反省です......。土壇場までかなり迷走したのですが、最後までしっかり話を聞いてくださったおかげで、理想の間取りが完成しました。


▲昔住んだ家で苦労した、洗濯ものを抱えての階段の昇り降り。今回はファミリークローゼットと洗濯機をすぐ側に配置して解決(photo:Unsplash)


間取りの仕上げとなる打ち合わせでは、要望は明確にしておきました。たとえば、我が家はふたり暮らしにしては持ちものが多く、片づけも苦手。なおかつ「見せる収納」より断然「隠す派」です。そこで、設計士さんとインテリアコーディネーターさんには前の家の溢れかえっている靴、洋服、本、うつわなどを実際に見ていただき、適切な収納計画をたててもらいました。

施工をお願いしているエンケルヒュースさんでは、収納、建具、照明など設計以外の細かい部分の打ち合わせには、インテリアコーディネーターさんも同席します。プロ目線のご提案やアドバイス、とても助かりました!


▲WIC・SIC・パントリーのアイデア。手持ちの収納用品や家電のサイズも測定し、我が家に合った収納計画で、整理整頓しやすく


「暮らしの癖」が、間取りを面白くする

さて、ご参考までに、我が家の間取りの「こだわりポイント」は下記の通りです。大きく分けると、明るさ・大容量の収納力・家事ラクが主な目的ですね。

  • 将来、周りに高い建物が建つ土地だとわかり、日照確保でLDKは2階に
  • 吹き抜けで1階と2階の空間をつなげ、つかず離れずの距離感を
  • 部屋数をしぼって、1LDK+DEN
  • 多目的スペースにもなる、ゆとりのある玄関ホール
  • 夫婦それぞれ、仕事スペースの確保
  • 洗濯ものを洗う・干す・しまうを同じフロアで
  • 大量の服と靴をすべて収納できる、大型のファミリークローゼット
  • 夫婦の生活時間帯が異なるため、ファミリークローゼットは寝室とは別に独立
  • キッチン・リビングの整理整頓に、パントリーや大容量の壁面収納を設置

大手住宅メーカーさんなどからよく勧められたのが、「見守り上手な間取り」です。キッチンから目の届くお風呂や、リビング横の和室など。たしかに、お子さんがいる家庭にはぴったりですね。

家事の効率をよくする目的でも、大人ふたりと犬1匹の我が家は、だいぶ違った間取りになりました。結婚から3回の引越しを経て、やっと「わたしたちにちょうどいい暮らしぶり」を、体感で理解したように思います。


▲基礎工事がはじまりました。「なんだか、変わったつくりだね」と親方がニヤリ


理想の間取りを考えていくうちに、「暮らしのかたちというものは、本当に人それぞれで面白い......」という実感がわきました。暮らしには「癖」のようなものがあり、この間取りも、誰か他の人にはとても使いづらいかもしれませんね。そう思うと、まだ見ぬこの家への愛着が早くも湧いてくるのでした。

次回も、まだまだ間取りにまつわるお話。鎌倉で家を建てる際の工夫や、ちょっとした遊び心、土地柄おすすめの対策についてお話したいと思います。
(つづく)

これまでの連載はこちら▶海街で家づくり

二木薫 Niki Kaori
東京にてエンタメ企業・メディア系企業に従事した後、2014年鎌倉へ移住。丁寧な暮らしに憧れつつ、片手にはたいてい甘いものかお酒。基本ぐうたらしていたい四十路フリーランスライター。工藝、フード、IT、地方創生...ジャンルに関わらず、なにかを“つくる人”の取材をしています。Instagram:@kaorilittle

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