GOKOTI平山遥さんおいしい旅の記憶

これまで国内46都道府県・世界40か国を訪れ、食べて、語らって、その土地の暮らしに触れながら、旅をしてきた平山遥さんのコラム。連載第6回は、アメリカのポートランドへ! 自然と調和したライフスタイルから生まれた感性豊かなカフェを知ると、コーヒーにさらにハマってしまうかも!?

▶アンティグアのコーヒー農園を訪れた前編は、こちら

 #6 苦手だったコーヒーが、毎日愛でるものへ。日常を変えたアメリカ大陸旅での一杯。<後編:ポートランド>

ポートランドは、「好き」のど真ん中。

数年前に仕事を通じて知って以来、恋焦がれてきたオレゴン州「ポートランド」。全米一住みたい街として有名ですよね。「パーマカルチャー」「サスティナブル」「自然調和」「クラフトビール」...... ポートランドを表すキーワードひとつひとつが、わたしの心地イズムに響くものばかり。アメリカ=「物理的な豊かさ」「合理性」を重視する国、という印象が強かったぶん、独特なフィロソフィーと存在感に惹かれていきました。



▲街のシンボル「Ace Hotel」に滞在。年季の入った建物に、ハイセンスなデザインが散りばめられていて、なんとも視覚に心地いいホテルです

▲ポートランダーが連れて行ってくれた展望台。見渡す街の風景やマウントフッドの姿が美しい

 

“KEEP PORTLAND WEIRD”を謳う街は、コーヒーも個性派揃い。

前編でふれたように、2019年グアテマラの旅でコーヒーフリークデビューをしたわけですが、ポートランドがコーヒー愛好家の巡礼地でもあると知り、これはもう呼ばれていると確信。強い引力に導かれて、2020年1月ついに上陸しました。

ポートランドは世界的に有名なバリスタを多数輩出し、良質なコーヒーマシンを使うカフェや独立系ロースターが集まっているといいます。席数が少なめでゆったり過ごせる設計と、古い建物を活かしたデザイン性の高さが、多くのカフェにみられる共通点。それでいて、コーヒーそのもので店の個性を表現しているので、1日じゅうカフェめぐりをしていて飽きません。さすが、「KEEP PORTLAND WEIRD(ポートランド、ずっと変わり者のままでいよう)」というスローガンを掲げる街。新しいコーヒー文化が次々と発信されるのも納得です。後編では、感性豊かなコーヒーで中毒ぶりを加速させたカフェをご紹介します。


▲サウスウエスト地区の「Case Study Coffee Roasters」。開放的で仕事がはかどりそうです

▲パール地区の「Barista」は、元倉庫をリノベーションしたカフェ。行列ができる忙しさでも丁寧に淹れてくれる一杯は、やはり美味しいです


コーラ瓶がダイブする新感覚カクテルに、コーヒーのポテンシャルをみました。

バーテンダーが本格コーヒーでつくるカクテルが話題の「Either/Or」。新しいコーヒーの味にチャレンジしてみたくて、渡米前から注目していました。お目当てのお酒は、奇想天外すぎる「Coke Brew」。水出しコーヒーにウイスキーを加えたグラスに、コーラ瓶が丸ごとダイブしているんです!見ためのインパクトと想像以上のサイズ感に驚愕しました。正直なところ、コーヒーの苦味が強調されていてわたし好みの味ではなかったのですが(笑)、新境地をみたというか、コーヒーの無限性を感じられてとてもきゅんきゅんしちゃいました。


▲お洒落で落ち着きのある店内。スタッフもフレンドリーで、通いたくなります

▲女子ふたりでチャレンジしても、半分も飲みきれないサイズです(笑)

 

こころを熱らせる香りとアートスイーツは、テーブル上のエンターテイメント!

ポートランド・カフェ巡りのハイライトは、「Proud Mary Café」。メルボルン発のコーヒーショップで、若手のクリエイターたちが集うアルバータ・ アート地区の一角に佇んでいます。香りを引き立てるためにデザインされたワイングラスをつくるこだわり、コーヒー農家に寄り添った経営をされているオーナーの想いに感銘を受けて、必ず立ち寄ると決めていました。 


▲ファンキーなカフェロゴやグッズを見れば、ハイセンスっぷりがわかります

▲カウンター席で、フレンドリーなスタッフと会話を楽しむことができます 

エスプレッソ、フレンチプレス、サイフォン、コールドドリップなど、目の前で選んだ豆に合った抽出方法で提供してくれます。既に他のカフェでコーヒーを3杯以上飲んでいましたが、立ち込める香りから最後の後味まで、本当に美味しくいただくことができました。一緒に頼んだフレンチトーストは、フォークを入れるのがためらわれる美しさ。甘すぎない上品な味とふわふわ食感で、口のなかがしあわせでいっぱいに。SNS映えを狙ったフードやスイーツは世の中いっぱいあるけれど、コーヒーとのバランスも計算されたクオリティは滅多に出会えません。4号店を日本に出店してくれないかと願うばかりです。


▲マグカップのブルーカラーも、ユニークなデザインも、にくいほど私好みです。

▲こんな洒落たフレンチトースト見たことあります?シトラスの爽やかな酸味がアクセントで甘すぎず、コーヒーとの相性が抜群!

 

クオリティだけを抽出したような、気取らない店内と上質な一杯。

竹材メーカー「Bamboo Revolution」のショールーム内にある「Coava Coffee Roasters」。美味しいコーヒーの探究心が伝わってくる本格カフェです。日本では考えられない広さがある店内でも、装飾はミニマム。集う客層も落ち着きのある大人ばかりなので、目の前のコーヒーに没入できる環境でした。メニューもいたってシンプル。シングルオリジンのドリップとエスプレッソのみなんです。豆本来の旨味を尊重して、敢えてブレンドは提供していない潔さに、とても好感を持てました。ケメックスのステンレスフィルターで淹れる一杯は、コーヒーのコクとかオイル感がダイレクトに味わえる逸品。コーヒーの本来の味を教えてもらった、至福のひとときでした。


エピローグ 〜好みのコーヒーで、クオリティオブライフを高めていきたい〜

アンティグア・ポートランドでのコーヒーを味わう旅、いかがでしたか?この記事を読んでくださった方にとって、コーヒータイムがより豊かなものになりますように!今はもっぱら、アフリカ産の酸味強めのコーヒーがわたしを毎日心地よくしてくれるので、アフリカのコーヒー旅をいつ決行しようか企んでいるところです(笑)。

 

これまでの連載はこちら▶おいしい旅の記憶


平山 遥 Hirayama Haruka
カナダ・トロント生まれ、東京育ち。数年前から鎌倉暮らし。リクルートコミュニケーションズで、広告制作ディレクション・WEBマーケティング・サービスデザインの領域に従事。現在はコンサルタント業を中心に、フードコーディネートアシスタントとして奮闘中。週末の海辺散歩、月に1度の国内旅行、年に1回の海外旅行でリトリートするライフスタイルを満喫している。Instagram:@travelife_haruka0530

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